Meade Deep Sky Imagerでの測光観測
次に、DSIを使った測光観測の例を紹介します。DSIは、カラー撮影の出来るカメラですが、RGBの3原色の情報を別々のファイルとして保存できます。
1回の露出で3色測光が出来るわけですが、後述のようにカラーモードは感度に問題があります。
光量を稼ぐ目的で、主に、モノクロモードで撮影しました。
ダークフレームをあらかじめ撮っておいて画像から引くことが出来るので、最初にダークフレームを撮影することにします。
メニューにダークフレームを撮るモードがあるので、それを選べば、自動で露出を何段階か変えて撮影して保存くれます。
出荷時の設定では、同じ露出時間のダークフレームを5枚ずつとって平均を取っています。
これが終わったら、あとは、露出時間を設定して、スタートを押せば、同じ露出時間で、延々、連続撮影をしてくれます。ダークフレームと同じように、指定し
た枚数づつ平均をとってくれる機能もあるのですが、平均を撮るのは撮影後でもできるので、ここでは、1枚1枚個別に保存するモードを選びました。露出30
秒にして、あとは放っておけば、数時間で数100枚の画像の出来上がりです。
今回は、AK CMiという食変光星を撮ってみました。
撮影には、ミニBorg50と2.2xのエクステンダーを用いました。
測定は、AutoStarDSIにもメニューに測光という項目があるようですが、使い方がよくわからなかったので、ずるをして、いつも使っている
MaxImDL/CCDを使いました。DSIは、fits形式でファイルを保存できるので、ほとんどのソフトで画像の測定が出来ると思います。
LPIでも指摘されていたファイルに撮影時刻が記録されていない問題ですが、MaxImDL/CCDには、ファイルの作成時刻を時刻として読み込む機能が
あったので、それを使いました。画像の転送保存は大変早いので、問題は少ないでしょう。
#撮影にもMaxImDL/CCDを使えば、撮影開始時刻を、fitsヘッダに記録してくれます。
さて、結構きれいな光度曲線がかけました。すこし、ばらつきが目立ちますが、口径の小さなミニBorg50での結果ですから、その分は割り引いて考えるこ
とにしましょう。なお、3枚毎に平均を取るとずっときれいな光度曲線になります。
次に、カラーであることを活かして、3色同時測光に挑戦してみました?
波長ごとに変光幅が異なるはずの脈動変光星のKZ Hyaを撮ってみました。
付属のAutostar DSIは、設定を変えると、3色別々のファイルに保存してくれるので、それを測りました。
ここで、問題は、DSIに使われているCCDチップは、いわゆる補色系のCCDであることです(註1)。CCDのピクセルの前についているフィルターの波
長の重なりが多いのが、まず1つ問題です。また、RGBの3色データは、各フィルターでの値から計算で求められているのですが、眼で見た時と同じ様な分光
感度(緑が一番強い)にするためか、青、赤での値が低いことです。そのため、青は暗過ぎて測れませんでした。また、赤もやや暗くばらつきが大きいようで
す。
同じ星をモノクロモードでも撮ってみたのですが、同時に撮ったいつも使っているCCD(Apogee Alta
E47+)での結果と比べると、モノクロモードでの等級はV等級でぴったり一致しました。眼で見たのと同じ様にカラーバランスを調整しているのだと考えれ
ば、当然なのかも知れません。
なお、MaxImDL/CCDでは、モノクロモードにあたる機能は、まだ、サポートされていません。MaxImDL/CCDで撮影すれば、ファイル名や撮
影時刻の記録など、付属のAutoStar DSIで不満な点がみな解消されるのですが、この点が不利かも知れません。
極限等級は、口径5cmのminiBrogでは、30秒露出で14等がぎりぎりです。UG型星の増光監視などに使う場合は、もう少し、極限等級が欲しいと
ころです。しかし、口径を大きくすると、焦点距離も必然的に延びて、視野が狭くなるのが難点です。(DSIのCCDチップは小さいのですから。)なお、赤
外カットフィルターを外せばどうかという議論もあるようですが、もともと、チップの前にもフィルターがついているので、赤い方で漏れがあるとしても、あま
り、極限等級には寄与しそうもありません?
測光目的でも、問題は、感度不足でしょう。カラーCCDであることを考慮すると仕方の無い面もありますが。
註 DSIにつかわれているCCDチップの型番は公表されていないのですが、公表されているSONY製のsuperHADであるということ
と画素数ほかから、ICX404AKだと言われています。